北アルプス 横尾本谷右俣から天狗のコル
2007年9月22日〜23日 L:和利、井藤、布田、内山


9/22(土) 晴〜曇
 6:30 沢渡第1駐車場
      明神に向かう大山ひげSakiパーティを残して、単独の中村とタクシーに乗り込む。

 7:00 上高地
      この時間だと一般観光客は少ない。ザックを担いだ登山者が圧倒的に多い。 

 9:50 横尾
             上高地から11km、内山さんが遅れがちになる。
      大勢の登山者が、橋を渡って横尾谷に吸い込まれていくのを見て中村は
      ルートを逆にとり槍に向かって出発していった。

11:00 本谷橋
      橋を渡らずに横尾本谷左岸を直進する。
      入口付近には大きな×マークあり。一般登山者はこれを見て引き返すが、 

      我々はここからが本ちゃんルート。
      大きな岩と流れを避け、左右に大きくルートをとりながら進む。
      左岸側に時々高巻きのルートが現れ、色あせたザイルに導かれて熊笹と巨大な
      シシウドを掴みながらよじ登.る。アザミのトゲトゲに悩まされながら進むが、思いの
      外時間を食ってしまう。記録によれば30分で涸沢との出合いに着くはずなのに、
      1時間以上を費やしてしまった。
      この程度の水量なら、沢を直登したほうが早いと後悔する。

12:20 涸沢出合い
      左に涸沢、右に横尾本谷の合流点に着く。涸沢はほとんど水が見えない。 

      明らかに横尾本谷の水量が多い。
      後ろに麦わら帽子の人影が見える。我々の他にも物好きがいた。

13:00 大岩@
            沢の真ん中に四角い大岩がそびえ立っている。谷を止めているように見えるが
      近づくと、両端が開いており、水の無い右側を巻く。この付近は大岩が続き、
      内山さんが苦労している。

13:30 二俣(左俣分岐)
      横尾尾根からの大きなガレを越えると、右岸に左俣が見える。いきなりザレた
      急登である。この左俣を登り詰めると大キレットA沢のコルに出る。
      麦わら帽子の彼は単独左俣に向かっていった。次はこのコースも面白そうだ。
     
13:50 小滝
      左俣を左に分け右俣を直進する。今までほとんど左岸側を来たが、左岸が切り
      立った壁になり進めないため、右岸に渡るのであるが、そこで小さなハプニング
      が生じてしまった。1m一寸の流れを越えるところで、布田さんが越せないで悩
      んでいる。去年の滑って捻挫した記憶がよみがえったようで、なかなか踏ん切り
      がつかないらしい。内山さんは一寸悩んで大胆に飛び移つり、井藤さんは布田
      さんを何とかしようとうろうろしながら説得している。私は小滝を登ってしまって
      全くの傍観者になってしまっている。結局、井藤さんが戻ってザックを背負い、少
      し下って流れを越え合流できた。その間5〜6分であるが、子供を説得するよう
      な井藤さんの姿と、ダダをこねる布田さんの姿が寸劇のようで面白かった。 

     (ごめんなさい。本来ならリーダーの私が手をさしのべるべきなのに・・・・・)

14:00 大岩A
      この小滝の付近が地形図で最も狭くなっている地点で、ここから先はカール状
       に広くなっている様である。目前に巨大な岩が迫り、不安が過ぎる。右側の草付き
       を登って大岩に取り付く。色あせたザイルが下がっており、木に掴まってよじ登る。
      内山さんを上から引きずり上げる。

14:35  屏風の耳
            谷が浅くなり、左右の尾根が迫ってきている。振り返ると登ってきた右俣と、下方の
      涸沢対岸の屏風の耳がひときわ尖って見える。
     
15:33  大岩のテラス
      沢は細く水が見えなくなり草原にでる。前方に横尾尾根から続く林が近づき
      緑が濃くなってくる。踏み跡はわからないままに林に向かって進む。
      林の入口、しかも高い位置に赤テープが見える。テープに導かれるまま進むが、
            イタドリ、シダ類、ツツジの仲間、木イチゴなど様々の植物に行く手を阻まれ、
      悪戦苦闘して大岩のテラスによじ登る。ナナカマドの赤い実が緑の葉に映えて
      綺麗である。

16:00  雪渓
      テラスから先は草原と大きな岩の涸れ沢となり、左前方に南岳、右に横尾の歯
      が見えてくるはずであるが、あいにく上空がガスで隠れて見えない。左側の黒い
      平らな部分は雪渓である。涸れ沢の右端の踏み跡らしきところを進む。このまま
      ではとても天狗のコルに届きそうもない。標高は2400mを越えていると思われ、
      天狗のコルが2700mであるため普通ならあと1時間程度と推測できる。 

      皆の状況を考え、幕営地点を探すよう布田さんと内山さんにお願いし先に行か
      せる。私と井藤さんは水を確保するためザックを下ろし雪渓に向かうが、涸れ沢
      の横断に思いの外手こずる。この涸れ沢は大小の鋭い岩が積み重なり不安定で
      歩きにくい。雪を石で砕いて袋に詰めて布田さんを追う。

16:30 幕営地点
      200m程先に布田さんが見えるが、まだポイントが定まっていないようでうろうろ
      している。井藤さんは横尾尾根側、私はカールの中央付近のハイマツ帯を目指して
      幕営地点を探す。5人用のエスパースが張れそうな場所は見あたらない。 

16:40 ザックとスノーバー
      井藤さんから「おーい、あったよ〜」の叫び声、三方から井藤さんの元へ集合して
      岩の間のテン場に感謝し、今宵の宿を設営した。周辺状況から過去に利用した
      形跡が見られた。
            テントの近くの岩上に60L程度のザックとスノーバーが放置されていた。井藤さん
      は中に何も入っていないとザックを逆さにしていた。 私は、厳冬期であれば岩の
      上まで雪があってもおかしくないとよからぬことを考えたが、すぐ頭から取り消した。 

18:30  轟音
      夕食中に何かが走り抜けていくような音を聞いた。そのときは何かわからなかったが、
      夜中に数回、轟音の後に爆発音が響いた。落石だ・・・・・・。昼間の涸れ沢の鋭い岩
      の破片は落石により砕け散った岩であることが今になってわかった。つまり、南岳側
            から落石がカールの中央付近まで来ているということなのだ。我々のテントが横尾尾
      根側であることに胸をなで下ろした。
      明け方近くで何かの獣が争っているような声を聞いた。

9/23(日) 曇〜雨〜曇
  6:00 作戦会議
      テントをたたみ、地図を広げ地形と磁石にて天狗のコルを特定して出発した。天気は
      曇り空であるが、これから向かうであろう横尾尾根と南岳、北穂ははっきり見えている。
      下から見上げると、コルの位置が定まらない。とにかく磁石で定めた目標に向けて
      広大なカールの草付きを登りはじめた。踏み跡は全くわからず、雨が降ると流れるで
      あろう溝の中を進む。
      草が少なくなり、勾配が急になってくる。後ろへ倒れると間違いなく転がり落ちる。掴める
      ものはなんでも掴んで身体を支える。草付きよりも涸れ沢の方が歩きやすいが、浮き石
      が多くて一足一足注意を要する。

  7:00 天狗のコル
     出発して1時間、天狗のコルにたどり着く。地形図と地形が合致して予定どおりの位置に
     出た。目の前に槍が聳えている。振り返ると草付きスラブの向こうに昨夜の幕営地点と
     雪渓が見える。目を上げると前穂北尾根が綺麗なシルエットを作っている。空は曇ってい
      ているが稜線はくっきりと見える。記念撮影を済ませ、感動を分かち合う。ここまで来れば
     もう十分、南岳は迷わずパス。
     計画から3年、やっと登ることができた。自分なりに満足して下山を急ぐ。ここからだと上
     高地まで20kmはゆうにある。
 
  7:55 天狗池
     先程まで見えていた槍がガスに隠れてしまい、池に写る逆さ槍は見えない。池の縁で一本
     とり、連休で行列を作っている槍沢に繰り出した。紅葉はまだまだ先になりそうである。

 9:55 ババ平
     テントが所狭しと張ってある。十数張りはある。こんなに多いのは初めて見た。

10:35 槍沢ロッジ

11:57 横尾 
     ここに来て突然の雨、皆を待つ間木の下へ逃げ込む。さすがに距離が長く足にきている。
     あと、11kmがんばるしかない。

15:40 上高地
     バス待ちの列が長い、連休は大変だ・・・・・

     皆さん、お疲れ様でした。井藤さん蜂蜜おいしかったです。

以上